音楽理論はなぜ学んだほうが良いのか

概論

音楽理論を学んだほうが良い理由は?

 演奏が上手ければいいじゃない?
 感覚だけで曲を作って何が悪いの?

素晴らしい音楽も芸術も文学も、そして数字の世界ですら、理論が先にあったわけではないと思います。

例えば英語の勉強で文法を学びますが、我々が学校で習うような文法を、イングリッシュネイティブの人たちは頭の中で考えながら話してはいません。

もっと身近な話として私達は会話をしつつ「 これは昨日の話だから過去形にしなくては 」などど考えることは全く無いですよね。

音楽の世界で専門的に、例えば音大などで勉強をしたことがなくても素晴らしい曲を作る方はたくさんいらっしゃいます。

高名な演奏家の方でも、音楽大学に行かれなかった方がいらっしゃいます。

理論・理屈を学ばねば何もしてはいけない、などということはありえない。

なのになぜ理論を学ばなければいけないのか?

私は長く奏者として、講師として音楽と関わってきました。

その経験した中で感じた理由を書いておこうと思います。

 

・応用がきく
・行き詰まったときに助けになる
・人にわかりやすく教えることができる

理論を学ぶ重要性は、大きくまとめると上のような理由です。

音楽に限らずあらゆる芸術、スポーツ、その他色々な学問に共通することだと思います。

私は音楽と教育が専門分野なので、以下この点に絞って考察してみたいと思います。

文頭に書いたとおり、理論は一部の「 天才 」に分類される方々には必要ないことかもしれません。

ただその方たちは意識していないにもかかわらず「 理にかなった 」演奏や創作をされています。

理論はもともと優れているとたくさんの人が認めたものを、ルール化、規則化したものです。

いわば完成形へのショートカットのようなものですね。

凡人の私が感覚だけに頼っていては、試行錯誤しながら正解を模索し続けなければなりません。

でも理論から最大公約数の正解を学べば、その試行錯誤の時間をある程度短くすることができます。

 

 バッハの音楽がなぜ素晴らしいのか
 なぜ人の心を動かすのか
 もしそれを再現するならそこに理由はないのか?

こういう疑問が発端となり「 対位法 」という学問が確立されました。

和声、楽式、その他の理論も全て、出発点はそこにあります。

では作曲を志す人だけが、理論を勉強する必要があるのでしょうか?

私はそうは思っていません。

 

私は曲を書きもしますが、音楽活動の90%は演奏です。

例えば
・演奏時間が長い曲をどうやって最後まで気持ちよく聴いていただくか?
という問いに関して、感覚も大事ですが、特に迷った時、色々な理論を武器にして曲を解明しようとします。

和声(ハーモニー学)だったり、楽式という形式美だったり、迷ったものに対して必要な知識が違います。
(どの理論がどの疑問に答えをくれるのかは各項目に譲ります。概論からお探しください)

演奏を完成させるにも、理論の手伝いは必要だと思っています。

 

私は結果的に演奏学科でも作曲学科でもない、教育という場での勉強の場に身を置きました。

でもそのおかげで、幅広い分野の先生方の教えを受けることができました。

演奏においても指導においても、ある程度自信をもって挑めるようになったのは、様々な理論の必要性と、詳しい内容をお教えくださった、たくさんの先生方のおかげだと思っています。

仕事を始めて、その場がいかにありがたく幸せなものだったかを知ることができました。

 

先生選びの項目でもいずれ説明しようと思いますが、こういった意味でたくさんの先生方の教えを乞うことはとても大切です。

全ての先生方をリスペクトしつつも、自分が欲しい物は自分の手で掴みに行かなくてはならない、と思います。

「 前の先生は教えてくれなかった 」
生徒側にも先生側にも言い分はあると思います。
(私は今も両方の立場にいますし)

でも結論から言うと
「 これが欲しいのです 」
自ら手を伸ばさないことには何も得られません

そしてもし具体的に何かがわからないときは
「 こういう自分になりたいのです 」
とはっきり意思表示をすることが、何より大切だと思います。

 

私は、別に大学に行かなければだめだ、と言っているわけではありません。

現に私のポピュラーの知識は大学で得たものではありません。

どこで、誰に学ぶか、を自分で選択し続けてきました。

独学したものもあります。

ですが、「 先生 」という漢字のとおり「 先 」にその道筋を「 生きた 」方に習うことは、やっぱり時間短縮になると思いました。

そしてその経験は指導者になろうとしたとき、教える内容への自信を支えてくれるものにもなってくれるのです。

 

私は自信がないもの、根拠が示せないものを人様に伝えることができません。

これは今の時点で間違ったことではない、と確信できることならば「 仕事=お金をいただく 」ことができるものと思っています。

学ぼうという姿勢さえあれば、必ず必要なものに出会えます。

 

音楽という世界に足を踏み込むなら、まずは「 音楽理論 」とくくられている、様々な座学にぜひ触れてみてください。

・自分がやってきたことにはこういう理由があったんだ
・どちらを選べばいいか迷ったけど理論を知れば正解がみつかるんだ
・理論上はこうなのだろうけどあえて破ってみたら新しいものができるかもしれない

そんな世界が待っていると思います。

 

音楽を志す全ての人が、理想の自分にたどり着くことができますように。

心から祈っています。

MAMI

著者
MAMI

音楽教室鍵盤科講師
弾けるための身体つくりの研究に没頭しています
時々演奏家 時々作曲家 時々料理人

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