―クラシック―
1 フォームを決める
・時代様式
バロック、古典、ロマン、近現代など ※自分が常々弾き慣れている時代のものが良い
・楽式(楽曲形式)を決める
1・2・3部形式、複合3部形式、ロンド形式、ソナタ形式、フーガ形式、変奏曲など
独立形式である、プレリュード、アンプロンプテュ、ノクターン、舞曲であるワルツ、メヌエット、マズルカ、ポルカ、マーチなども考えられる ※いかなる場合もその形式を題名に用いるならば、楽式の下調べは必要
・曲調、テンポを決める
同じソナタでも軽快なもの、重厚なものなど様々ある ※形式が決まった段階でテンポそのものが限定される楽式もある
・演奏形態&編成 ※エレクトーンのみ
弦楽四重奏、木管五重奏、フルオーケストラ、ブラスバンド、ソロ楽器+ピアノなど
2 テーマ(主題)を書く
・演奏楽器を想定する
ピアノソロの場合、さしてこだわる必要は無いが、慣れない内は主題の音域が広すぎると後の展開で苦労する為、一考してみる価値はある
・モティーフ考える
メロディを構成する要素を踏まえ、出来るだけ数多く考える ※マーチ、メヌエット、リート形式などでない限り、ここで充分練っておかないと次項の主題を複数書く場合に、各主題の関連付けや対比、もしくはソナタ形式の展開部で行き詰まる
・主題を書く
変奏曲:もとの主題部そのものが複合形式であることが多い きらきら星変奏曲 モーツァルト・ソナタ イ長調 K.No.331
ロンド形式:A→B→A→C→A→B→A→Coda 少なくとも3つ、Cが複合形式であることも多いためさらに増える
2
ソナタ形式:主に2つの主題で構成されるが、それぞれが主題群を成している場合も多い ※それぞれのメロディに関連性を持たせる、対比させる、などの作業が必要
独立形式:マーチ、メヌエットはトリオ部を持ちそれぞれがまた複合形式であることが多い為、最低2つ 双頭の鷲の旗の下に
ワルツ、ノクターンなどショパンの作品には構成・転調がロンド形式に酷似しているものが多い為、少なくとも3つ
・メロディの構成要素と対比
跳躍的(和声的)⇔旋律的 音価が大きい⇔音価が小さい リズムが複雑⇔リズムが単純 上行⇔下行 強⇔弱 音域が広い⇔音域が狭い
3 楽式に従って展開する
・構成
1で決めたフォームに従い、構成表コンストラクションを作成する
曲を通しての山・谷を全体として見渡せるようにしておく
※たとえ全て主題で構成されているロンドであっても、それぞれ各部を繋ぐ経過句や、曲を終止させるためのコーダは必要 またリート形式のものでも再現部はなにがしかの変奏を伴う場合が多いので、ここで確認する ベートーヴェン 熱情 第2楽章
・各部分にそれぞれテーマを配置する
変奏曲:2部、ないし3部(複合を含む)のテーマ部を確定後、変奏を行う
ロンド形式:【A(主調)→B(属調)→A(主調)→小Coda】⇒【C(平行調、複合形式であればここも一旦属調に転調する)→経過句(本の調に戻るため転調フレーズ)】⇒【A(主調)→B(属調)→A(主調)→Coda】
ソナタ形式:主題提示部【第1主題・主調→転調を伴う経過句→第2主題・属調→小Coda】⇒主題展開部【主題1・2、経過句、Codaにおいて使用された全てのモティーフを提示部とは異なった調で展開する→オルゲルプンクトを伴う経過句】⇒主題再現部【第1主題・主調→転調を伴わない経過句→第2主題・主調→Coda】 ※短調の場合調関係が若干異なる ▼モーツァルト・ソナタ ハ長調 反則の曲!
独立形式:それぞれの参考楽曲を分析して欲しいが、概ねロンド形式の構成・調関係に近いものが多い
3
前述のようにマーチ、メヌエットなどトリオを持つものは複合3部形式に準ずる ※トリオ部分は関連調に転調
・使いたいアイデアを書き出す
経過句、小Coda、Coda等はテーマよりも曲を「3級のレベル」にするテクニックを盛り込む見せ場的重要な箇所 ソナタにおける展開部のモティーフ扱いのアイデアや、リート形式・変奏曲での変奏のアイデア、も出来るだけ沢山書き出す
特に伴奏型をここで抜き出して整理しておかないと、全体のまとまりがつかなくなったり、単調になったりする ※Pfの場合は定めた楽式の楽曲を参考に、ELの場合は弦楽四重奏の伴奏部分がソロでクラシックを演奏する場合の参考になる 個別化しナンバーを振っておくのも一手 アイネクライネナハトムジーク
・全体像を決める
構成表の段階で複数のテーマの関連性、調性、などを明記しておくと、いざ楽譜を書くという場面で混乱を防げる
4 ラフ・スケッチを書く
五線紙、だがまだ完成譜ではない
・構成表に従って下書き ※慣れていれば省略可能
それぞれの主要パーツを構成表に従って完成させる この時、調性も整える
経過句など、繋ぎに相当する部分はどこにどのアイデアを使用するか、だけを決定、書くのはまだ後 ソナタの場合は特にここで展開部の構成をよく錬ること 変奏の場合もアイデアを良く推敲し、変奏の順番、構成を考える
・伴奏を付ける
概ねカデンツ的和音は既にテーマを書く段階で決まっているが、経過的和音の付加やトータルでの伴奏型のバランスをここで計る ※伴奏楽器も想定した方がよい
テーマを一定の音域のみで書き連ねると、曲が単調になりやすい 確定部でオクターブを変える、主題部が次に移行するとき演奏される音域そのものを変更する方が、器楽曲としては聴き映えがする ※弦楽奏ではヴァイオリンからチェロに移行するようなもの
4
5 譜面を書く
・下書きのパーツを元に楽式に従いテーマを繋ぐ
変奏曲:変奏を展開する ※変奏が進むほどほどリズムは細かく、音域は広く、装飾・伴奏は複雑になる 長い曲の場合は途中で転調、テンポも変化する
ロンド形式:AからBへ、さらにCへと経過句用に準備したフレーズを用いながら移調し繋ぐ
ソナタ形式:第1主題から第2主題へ、経過句用に準備したフレーズを用いながら移調し繋ぐ これを提示部、展開部、再現部と進める
独立形式:楽式を元にテーマを並べる ※トリオがある曲などは取り敢えず主部とトリオを別々に書く 但しテーマの関連性は保つこと
・全体の構成を確認する
この曲での山場はどこか、どこで盛り上がり、どこで納め、どこに終着させるのか構成表とずれてきていないか見極めること
6 エレクトーンであれば音色を作る
・レジストを作る→リズムを打ち込む→シーケンスを打ち込む
7 知っていると便利なこと
・バロック音楽
対位法のテクニックの収得は数ヶ月ほどでできるものではないため、敢えて本編では触れなかった ソナタの展開部においてカノン(多声法)を使用している楽曲も多々あるが、楽曲分析のみならず、理論書を用いての学習が必須
・和声
勿論クラシック音楽の根底を成す、重要なファクトリーの中の一つ 時代が下がる毎に扱う和音の種類も増えるため、自由に和音を配置しても構わないと思われがちだが、一定のルールの元に三(ないし四)和音に音が添加されるので、何をしても良いというわけではない ※第6・7・9・11・13の添加はジャズ理論のテンションに通じるものがある
5
アントニオ・アルロス・ジョビンの作曲した数々のボサノヴァは、ラテン音楽をベースにジャズのテンションを加えたもの(ジャズ・サンバ)とも、彼がクラシックピアノを幼い頃から学習しており、好きだったドビュッシーの影響を受けたとも言われている
・調性、および転調
「調性の絶対的作用」、主に演奏が人声および作音楽器のみによってなされる場合は定かではないが、鍵盤を含む平均率で調律される楽器の曲は、調性は意図をもって選ばれ決定される ♯は上がる♭は下がるという言葉にも、作曲者の無意識な選択は影響されると思われる
また演奏家達のために調が決定される場合もあり、ピアノの曲に♯系が多いのはffを出したいときに、和音のエッジに来る音が白鍵の方が力を入れやすいため、また近親調に転調をしても主音が白鍵に来やすいので選ばれているのではないだろうか 同じくエレクトーンの曲は作曲者が触れるものが、原曲の演奏が移管楽器で演奏されるポピュラー音楽のコピーが多いため、必然的に♭に偏る傾向があると思っている
調性の固守 帰還性調性 徘徊性調性 断片的調性(マックス・レーガー) 浮遊性調性(シューマン、リヒャルト・シュトラウス) カデンツに影響されない調性(ドビュッシー、ラヴェル)
ポピュラー音楽に比べ、クラシック音楽は一つのテーマの中に存在する和音の種類は少ない この単調さを補うものが(調をほぼ固定し全曲を作曲する)変奏曲の計算された、リズムや音型の変化であり、ロンド形式やソナタ形式の転調である
因みに演奏グレードの初見にもこのルールは当てはまり、ポップス系は和音の種類が多く、クラシック系は転調を含む こうして一曲の中の和音の種類は問題に関わらずある数確保されている気がする
・カデンツ
通常のカデンツの他、偽終止、変格(プラガル)終止、ナポリの6度、などを取り入れると曲が単調になるのを防げる ※曲調によっては教会旋法などを用いると個性的な曲に仕上がる
コメント