ちょっと遠回りになりますが、なぜ指導グレードにソルフェージュがあるのかを考えてみましょう。
子どもの生徒さんにパラパラっと弾いてみせて「はい、同じように弾いてみて」と言っても、何をどうしたらいいのかを伝えることが出来ません。
でも「ドッ・レッ・ミッ」と歌いながらスタッカートで演奏すると、子ども達はほぼ全員が音を切って演奏してくれます。同じようにスラーで演奏させたいときは歌も「ドー・レー・ミー」。
つまり鍵盤演奏指導も声(歌)の力を借りると格段に伝わるようになるのですね。演奏の仕方だけではありません。表情をつけること(強弱・曲想に至るまで)も、模範演奏に加えて歌ってあげることで、よりいっそうこちらの意志を正確に伝えることが出来るようです。
ですから、良い声じゃないとダメだとか、ちょっとでも音を外してはダメだとか思わないで、目の前の課題を正しく弾いてもらうためにはどうしたら良いか、と考えて歌って欲しいのです。
テンポ表示は見ましたか?
拍子も大切です。例えば4/4と2/2の違いを歌い分けることが出来ますか?
その課題にスラーはついていますか?スタッカートがついていますか?どんな感じのどんな曲なのかをちゃんと声で表現できていますか?
最後の音は全音符ですか?付点二分音符と四分休符ですか?お休みの有る無しを貴方の歌は伝えられているでしょうか?
そしてたった8小節のメロディですが、曲の山はどこにあるでしょう?半終止と全終止の違いもありますね。これもちゃんと音楽です。こんな風に演奏して欲しい、という貴方の音楽観は表現できましたか?
好きになる、という観点からは少しずれてしまったかもしれませんが、「巧くなければいけない」と思い込むと本来その人の持っているものを発揮する事が出来なくなってしまいます。
短い短いメロディだけど、私はこれをこんな風に演奏して欲しい、こんな音楽だと思っています、と、試験官にアピールするつもりで試験に挑んで頂けたら、2点くらいはなんとかなっちゃう…かもしれません(笑)。
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