♪楽典という学問と学ぶ理由♪
楽典はクラシック音楽を学ぶときの基礎になるものです。
これ単体で何かを得るというものではなく、個々の理論を学ぶときにベースとして知っておかなければならない、最低限の知識といえばいいでしょうか。
よく「 楽譜だけでは曲がわからなくて、演奏を聞かないと弾けない 」という相談を受けることがあります。
これは色々な意味で危険です。
クラシック音楽においては、いかに「 楽譜を正しく読むことができるか 」が、大変重要になります。
「 音符を読むこと 」と 「 楽譜を読むこと 」はまったく違います。
作曲者が楽譜に込めたものを、どれだけ掬い取れるか?が楽譜を読む=音楽を理解することにつながっているからです。
では楽典というカテゴリーで学ぶのは実際にどういうものか、以下に書いておきます。
色々な書籍が発売されていますが、概要はほぼ同じだと思いますので、一般的な内容となります。
【 律 】
西洋クラシック音楽の根幹にあるものです。
音階を理解するために必要な知識です。
【 譜表 】
楽譜を読む、書くための基礎知識となります。
譜表、音部記号、などを学びます。
【 音符 】
音が鳴る、鳴らない、音楽を奏でる基本になる部分です。
特に休符はおろそかにされがちです。
「 音が鳴らない音がある 」ことを理解する必要があります。
拍の仕組みをきちんと理解しておかないまま、先に進んでしまうと、正しい演奏ができない状態になってしまいます。
【 リズム 】
等拍という概念が育たないまま演奏技術だけ上達すると、後々修正するのに大変苦労します。
感覚だけでは理解しづらい部分で、理論としてしっかり頭に入れておかなければなりません。
【 音程 】
ゆくゆく演奏において理解が必須な、和声につながる基本の知識です。
感覚によっても理解できますが、理論として最初に可視化しておくと、曲の分析→演奏の完成に役立ちます。
【 音階 】
長調、単調、よく知られている音階以外にも学ぶべきものがあります。
近現代の楽曲では教会旋法や民族音楽の音階を理解しておく必要があります。
【 和音 】
音程は二つの音の間の関係ですが、三つ以上の音の組み合わせにより色々な響きが生まれます。
和音それぞれの持つ特徴を把握することは、演奏上でも大変重要です。
【 表記 】
楽譜を読む上での決まり事です。
主にイタリア語が使われています。
ドイツ語もあります。
理由は詳細に載せます。
英単語と同じで覚えておかないと、演奏時に反応ができません。
速さ、強さ、曲想、奏法などの分野に分かれます。
楽典はわかっているようで、案外理解していないことが多いです。
知っていることと、理解できていることはまったく別のものなのです。
何のためにそれが楽譜に記されているか、それを理解しているのとしていないのでは、結果が全く違ってきます。
以下は私の体験談です。
ヤマハのピアノ演奏5級(プログレード初級)を合格した方が、指導グレード(楽理に関する試験)の勉強を始めたとき、思ったより大変苦戦されました。
一つずつ問題を解いていただきながら、どの部分の理解が足りていないのか、と突き詰めたときわかったことがありました。
ベートーヴェンの中期のソナタを弾きこなす方でも、この最初の楽典の部分が自分の中に落とし込めていない、ということもあるようです。
思い返してみれば、この方の理論の弱点が演奏の弱点でもあったのだ、と気がつきました。
このように知識の理解不足は、演奏にも響いてしまいます。
足りないとわかれば、その時学べばいいのです。
順番が入れ替わっても、気がついたときにもう一度最初に戻って学ぶ勇気を持つことは、とても大事なことだと思います。
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