エレクトーン5~3級・演奏グレードの傾向と対策

ヤマハグレード5~3級

グレードを収得するということは、責任が派生するということ
グレードを取らないと持てないコースがある=グレードを取ればそのコースを教える
ことができるだけの、知識と演奏力があると判断されるということ

だから知識が偽物であってはいけない

しかし全てが完璧にできなければいけないわけではない

グレードの各科目は独立して存在しているわけではない
指導者としての資質を多方向から確認する意味を持っている

ヤマハの指導理念を具現化したテキスト、これを指導できる力が有るかどうか、判断されるものだと理解すると、各科目で何が求められているかが分かりやすい

追試を受けることの利点と怖さを理解しておく必要がある
受けない科目があるということは、その日試験官にはアピールできない事も存在するということ

練習できない科目はない
即興であっても初見であっても、たとえ課題そのものはその日初めて見るものでも、
試験内容で試されようとしている事を把握していれば練習することは可能

共通する項目をまとめて練習する

スケール・カデンツ・リズム・左右の手のカノン的動き・ブロック奏・ベースの動き

「定型」を曲から学ぶ(ただ弾くだけではいけない)
構成(コーラス)・イントロ・インターバル・エンディング・モティーフとその活用・
コードプログレッション・伴奏の変化・対旋律
和声・変奏

次の曲の譜読みに活かす

即興・初見に応用する

ジュニア科の指導目標とグレードの繋がり

①創造的な音楽表現ができる子どもに
 音楽を楽しむ、楽しめる手だてを知る
→中高生になったとき、バンドをやりたい、作曲ができるようになりたいと思う子が多い
 その素地を養ってあげられる(能動的に音楽に関われる)
②テキストで教える
 曲の魅力を十分伝えられるように
→歌詞唱の音源を聴いてジャンルが理解でき、正しく伴奏できることが大事
 キーボードハーモニーの変奏の展開に於いても同様
③グループレッスン
 合わせる・共感する・競い合う→各々が「違う“個”」であることを学ぶ
 →それぞれ好みが違う子どもたちの個性を殺さないために、自分の音楽の引き出しを増やす

ましてエレクトーン・ジュニアのテキストになれば、ポピュラーに関する事柄は早いうちからもっと専門的になっている。
 これを講師が正しく理解できていないと、テキストを使いこなすことができない。

 そのために即興Bでメロディの成り立ちを、Aでポップスを中心とする様々な音楽の約束事を正しく理解し、表現する術を身につけ、それをいつでも、初めての楽譜にでも応用できるように、初見力を養う必要がある。

 そのグレードを持たないと担当することができないコース=(イコール)そのグレードのレベルの即興・初見力がないとレッスンの中で子どもと保護者の信頼を得ることが難しい、ということ。
 また素材によっては、間違った知識を与えてしまう恐れがあるということ。

 楽曲演奏に関しては、自分の範奏が、自分がそこまで育てた「耳」を持つ子どもたちの鑑賞に堪えうるものであるか、を指針とすると求められているレベルが自分で分かる。

 グレード当日の心構えにも通じる=試験官に審査されると思うのではなく、いつもレッスンしている子どもたちの前でその場に即して弾いたり歌ったりしている自分を想像しながら弾くと良い。

即興演奏の練習の手順

即興A

ポピュラー音楽の基礎知識(編曲)
構成(コーラス制であること)・ジャンルによるon or after beet のノリの違い・モティーフの扱い・使用されるコードプログレッションの特徴・伴奏型・ベース進行・etc.

Ⅰ:既成曲を弾く
自分にあったノリ・テクニックのものを見つける
Ⅱ:分析する
構成(コーラス)・イントロ・インターバル・エンディング・モティーフとその活用
コードプログレッション・伴奏の変化・対旋律など
Ⅲ:レジストレーションメニューから似たジャンルのものを探す
  曲の構成と音色の割り振り、またデータを開けてみて、そこに使用されるABCの内容や
MOC、リズムのヴァリエーションを研究する
Ⅳ:自分なりに即興に使用しやすい形に直し、レジストを整理する
Ⅴ:問題を分析する
  ジャンルは?テンポは?構成は?
  ※ジャンルによって使用されるコード、テンポ、伴奏型など色々な制約が有ることを
   知っておくこと
Ⅵ:問題のメロディとコードプログレッションから曲の「骨格」を把握する
Ⅶ:指定のコーラス数で展開する→理論的に間違いがないかチェックする
Ⅷ: 間違いなく弾けるようになるまで、練習する
  ※「間違わない」練習が大事!どうしても巧くいかない場合は記譜する
Ⅸ: 転調して間違いなく弾けるまで練習する

即興B

ポピュラー音楽の基礎知識(作曲)
モティーフを使用したメロディの創作・形式を含めた構成・構成に即したコードプログレッションの展開

Ⅰ: 既成曲を弾く
  できるだけ様々なジャンルのものを弾く
Ⅱ: 分析する
  モティーフ=①a→a‘→a“→b ②a→b→a’→b‘ ③a→b→a’→c etc.
  形式=2部 or 3部形式 または複合3部形式 etc.
Ⅲ: レジストレーションメニューから似たジャンルのものを探す
Ⅳ: 自分なりに即興に使用しやすい形に直し、レジストを整理する
Ⅴ: 問題を分析する
  モティーフの特徴を把握し、コードプログレッションを考える
Ⅵ:構成を決める
  Ⅱで分析したものに当てはめ展開する
Ⅷ: 間違いなく弾けるようになるまで、練習する
  ※「間違わない」練習が大事!どうしても巧くいかない場合は記譜する
Ⅸ: 転調して間違いなく弾けるまで練習する

初見

初めて見る楽譜を自分の演奏を媒体として音楽的に他人に伝える

Ⅰ: 既成曲を弾く
  できるだけ様々なジャンルのものを弾く
Ⅱ: 分析する
クラシック=対位法型orメロディ+伴奏型 etc.
ポップス=ON or AFTER beet etc.
Ⅲ:簡単な曲は移調して弾いてみる
 特に対位法に弱い人は「プレバッハ」などを素材とすると良い
 3級レベルになると曲が「特化」してくる
 →普段弾かない苦手なジャンルのメロディのリズム・伴奏型は必ず躓く
  ジャズ系の曲を弾かない人はテンションが出てくるもの
  クラシック系の曲を弾かない人は伴奏のアルペジオなど
Ⅳ:問題を弾いてみた後分析する
自分は何が苦手だから弾けなかったのか
Ⅴ:問題を他の調に移調する
 苦手な調、♭♯の違いによる理解のスピードを知る

著者
MAMI

音楽教室鍵盤科講師
弾けるための身体つくりの研究に没頭しています
時々演奏家 時々作曲家 時々料理人

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